ASP.NET MVC では、ModelState を利用してビューに検証結果を表示したり、コントローラ側からエラーを追加したりできます。
ModelBinder を使えば、DataAnnotation で面倒な検証作業を省略でき、エラーを ModelState に手動で追加する必要もなく、とても素晴らしいフレームワークです。
でも、実際に作ってみると躓く(というか躓いた)のが、モデル内部の検証結果をどのようにビューへ伝達するか、でした。
ASP.NET MVC の検証機構と、モデルでの検証
まず ModelBinder や ModelState はあくまでも、コントローラとビュー側の仕組みです。うまく設計されたMVCアーキテクチャであれば、モデルは単体で独立していて、コントローラやビューに依存していないはずです。
そうなると、モデルはしっかり内部に検証機構を備える必要があります。コントローラやビューが変わっても、ちゃんと動作する必要がありますから。
ASP.NET MVC は ビューとコントローラについてはフレームワークとしてサポートしていますが、モデルについては開発者が自身で設計していかないといけません。
どうしたか
検証自体の実装は省略します。DataAnnotation を使ったり、オリジナルの検証機構を実装したりしてみました。個人的には DataAnnotation がいいと思います。基本的な検証なら用意された検証属性を使うだけで実装できますし、カスタム検証属性を作れば、多様なケースに対応できます。
肝心なのは検証結果をいかにビューまで伝達するかです。私が最初に試したのは…
ModelState をモデルに渡す
最初はよくわからずにこうなりました。ModelState をビューとコントローラ、モデルまで一貫した検証結果のコンテナとして利用しました。
しかし ModelState は ASP.NET MVC の仕組みの一つなので、それをモデルに入れてしまうのはなんとも言えない気持ち悪さ、ビューやコントローラへの依存が生まれてしまいます。
検証結果のコンテナを自前で作る
次は自前で検証結果を扱うコンテナを用意しました。モデルが返してくるこの独自の検証結果のコンテナを、コントローラ側で ModelState にマップしてビューへ伝達します。
この方法は最初うまくいったように思いました。でも大きな問題が。すごく面倒です。
また、最終的には ModelState を利用するので、ModelState を意識せざるを得なくなり、最初の試みとだんだん大差なくなってしまいました。
モデルは特別なことをしない
最終的にどうなったかというと…
例外結果のコンテナの仕組みをモデルから全部排除しました。モデルで検証に失敗したら単に例外をスローするだけです。つまり、モデルでの検証はデータを守る最後の砦としてのみ機能させるということです。
その代わり、ModelBinder による検証を充実させ、モデルでの処理の際、極力検証に失敗しないように作ることにしました。ユーザの通常の操作の範囲なら、ModelBinder による検証で十分拾えると思います。
ModelBinder による検証が充実していれば、モデルでの検証が失敗するケースは、特殊なケースになります。例えば悪意ある操作などです。
そんな特殊なケースまで丁寧に検証結果を表示したりする必要はないということにしてしまいました:)
こうすることでモデルの作りがシンプルに保たれ、モデルは必要最小限の仕事に集中すればよくなり、随分すっきりしたように思います。
まとめ?
結局モデルの検証結果を伝達するのをやめるという、なんとも身も蓋もない結論になってしまいましたが、個人的にいろいろ試したところでは、これがいちばんしっくりきました。
ModelBinder は非常に優れた仕組みなので、カスタムバインダや検証属性を作って有効活用しましょう!
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